2010年からDoWorkshop!と名付けた身体を使った力仕事を週1回体験する活動をしています。猛烈に都市化IT化が進んでしまってついつい頭だけで、パソコンの前だけで世界のことを考えすぎてしまうのはアレなんで。。。 Doしていきましょうと。
ある日、僕たちがTHA FUTURE NETWORKと呼ぶ、DOを通じてなんかいい感じだなあという働き方をしている人たちの繋がりの一人である信太商店の信太さんから連絡が入った。
「成田空港の近くで木が切られているんだけど、あれってどうにかならないですかね?」
と、信太さんは大都会のど真ん中、渋谷生まれ渋谷育ちで、解体やリサイクル、特殊伐採の仕事を自ら起業した元銀行員という異色の肩書を持つ人。 そして木を愛でる男である。
自分たちにとっては憧れの存在でもある。
早速、成田国際空港にその可能性を問いあわせてみると、空港側でもただ木を切るだけではなくいろいろと伐採木の活用を考えているところだから何か出来ることあれば提案してほしいと前向きな対応をしてくれた。
なんかそういう時ってありますよね。 え、いいの? みたいな。
とはいえ、そんなに大きな組織でもない自分たちが、週1回のDO活動で出来ることは限られている。
そこで、成田国際空港の会社のロビーで使用するというテーブルと衝立を伐採木で作らせてもらうことにした。
信太さんが懇意にしている長年、千葉の木を製材してきた東金の鈴木製材所さんにアドバイスをもらって、その仕様を決めた。 本来、木は製材したあとに数カ月から10年ほど乾燥させる必要がある。特に広葉樹は反ったりするので長く乾燥させる必要がある。
幸いなことに今回は針葉樹の杉がほとんどだったので75㎜という厚切りにすれば使いながら乾燥させても反ったりすることも少ないだろうとのことだった。
戦前や戦後すぐに植えられたであろう千葉のブランド杉である山武杉は直径600㎜を優に超えるものもあり、製材したときにはじめてあらわれる木肌はぞくっとするほど美しい。
それだけでも今回のなかなか大変なお仕事を引き受けた甲斐はあったと思う。プロセスの途中におこる様々な感動の瞬間にいつも気づきがある。
などとぼんやりとポエムタイムをしていると製材所では危険なのである。そういう緊張感が現場仕事にはある。
搬入、製材、乾燥、継ぎ、表面加工、金物加工、乾燥と粛々とDOしていくことで丸太からテーブルが出来上がってきた。家具というよりは木、素材。 自分たちの技術力のなさと、根気のなさが随所に残っていて、やはり木の持つ魅力に助けられたと思う。そしてやっぱり本物の職人さんは凄い。今回は鈴木製材所をはじめ、伸栄木型の方たちにもいろいろと教えてもらいながらDOが出来た。 手についた大小さまざまな傷跡と筋肉痛も愛おしく感じる。
みたいなポエムは現場でいうと恥ずかしいということも気づきとしてあった。まあ言うけど。
衝立の方は机の方がなるべく素材という感じでそのままを出そうと思ったが、DOのDIYらしさみたいな誰でも気軽にお家でも出来るようにという仕様にしてみた。
厚さ12㎜の材料に製材してもらうと、DO愛好家ならだれでも家に一つはある丸鋸と木工用ボンドとクランプで作ることが出来る。 集成材もいいのだが、このような無垢の杉板もまた今時のおしゃれなカフェみたいでカワイイ。 これは本物の職人さんが見ていないので多少失敗しても気持ちが楽だった。 近所のホームセンターとネットで買える塗料類と、カインズの作業スペースも借りて粉の出る作業はそちらでやってみた。ありがとう新習志野のカインズ様。作業場でなんか妙に大きなものを作っている人たちがいたらそれはDOしている人たちなのです。温かい目で見守ってあげてください。
そして今回嬉しかったのは、千葉大PULI(PostURrbanLivingInnovation)というメキシコと日本をつなぐ産学連携のプロジェクトに参加していたデザイン学生さんが近所の協同工芸社さんに就職していていろいろと協力してくれたことです。はっきり言ってPULIというプロジェクトは普通の大学生のキャパシティーではなかなかに大変でつかみどころがないものなのですが、まずはDOしてみる。そして最後まで着地することが出来なかったとしても、致命傷にならずにサバイブするということが教育的には大事なんだと思います。僕らのちょっとした無茶ぶりが世界観を広げてくれていたら良いなと考えていますが、
今回も社内の調整をいろいろとしてくれたのでスムーズにレーザー加工をしてもらえました。
総じて心と身体の筋肉痛を伴うことをやらなければならないこともありましたが、なんとかゴールまでこぎつけました。
ご協力いただいた会社様には最大限の感謝を送ります。
参加協力企業
JMS株式会社
NPO法人未来テレビ
笠原工業株式会社
信太商店
鈴木製材所
伸栄木型
協同工芸社
necco design