最近、日本中に美味しいコーヒーを出してくれる雰囲気の良い自家焙煎の
ハンドドリップのカフェが増えてきているような気がします。
明治時代からの喫茶店文化が残る神田エリアにあるFutureHouseLab. のメンバーにも
コーヒー好きの方は多いので、メキシコのCasaFuturoLab.のメンバーはコーヒー農園を
訪問することにしました。
Xico Inn
メキシコ南部のべラクルス州にあるマジックタウンXICO(ヒコ)のコーヒー農園ホテルXICO INNを経営している
ベロニカさんにコンタクトをしてメキシコのコーヒー栽培や文化についていろいろと教えてもらいました。
実はベロニカさんには薬剤師として薬局を経営している顔と、ナワトト族の郷土伝統料理の研究家としての顔もあります。
ホテルに併設されたかわいいキッチンも見せてもらって、手作りのスープをご馳走になり、FoodCommunication好きの我々の嗜好とピッタリな場所だと感じました。
パートナーのドイツ移民のミハエルさんと、焙煎とカップリングのマスターであるニコさんにホテル併設のコーヒー農園とコーヒーミュージアムを案内してもらいました。
こちらがコーヒーの果実と、その中にある種子です。これを乾かす時に果実のまま乾かすのがナチュラル、果実を取った状態で乾かすのがハニー、果実をとって豆を洗って乾かすのがウオッシュドと言うそうです。
ホテルに併設されたコーヒーミュージアムには昔ながらの生産設備があり、年間500㎏ほどは実際に生産して乾燥工程まで行っているそうです。メキシコは原住民たちが16世紀にスペインに占領された歴史があり、コーヒーはもともとアフリカ原産で、メキシコにはないものだったのですが、スペインの植民地として栽培がはじまったのに端を発しています。ちなみにカカオはメキシコ原産なのですが、それがアフリカに渡ってアフリカでも栽培されるようになりました。 ヨーロッパの大航海時代によって植物も移動していったことがわかる例です。
ホテルの中でカップリングのやり方を教えてもらいました。
ニコさんはメキシコの国立コーヒー研究所でもカップリングを教えているコーヒーマスターです。
スペシャリティと言われているコーヒーを生産するための農業指導も同時に行っているので、日本にはまだ入ってきていないベラクルスのコーヒーのクオリティの向上に貢献している方の一人です。
4つのコーヒーの飲み比べをさせてもらったのですが、
やはり素人にはなかなかわからなく、これがスペシャリティコーヒーですよと言われたものに最低の点数をつけてしまって、スペシャリティといわれるコーヒーの味の特徴の出し方ということへの勉強の必要性を感じました。
次の日は世界的にも非常に珍しい原生林の中で作っているコーヒー農園を見学させてもらいました。
本当にここにコーヒーがあるの?という感じの原生林の中によく目をこらすとコーヒーの木が潜んでいます。標高は約1500m。原生林がうまくシェードツリーの役割を果たしてくれるので、日本の里山のような雰囲気もありつつ自然の多種多様な植物が共生している様を感じることが出来ます。
一般的に平地でない場所は農業や生活には向かないと言われていて、最初の征服者となるエルナンコアテスは16世紀に、この山の沢沿いをメキシコシティへと歩いて行ったと言われています。しかし、現代まで開発されなかったのは中山間地として都市化には魅力的ではなかったことと、ナワトト族がアステカ族に対して敵対心をもっていたためにスペイン人による侵略を協力をすることで自治権を持っていた時期があったということにも関係があるようです。
Xico Coffee Forrest の沢の映像へ
様々な理由がありつつも、現代でもこのような自然環境が残っているというのはとても珍しいので、まさにコーヒー生育環境のスペシャルティとして、このXICOの原生林のコーヒーを日本にも紹介することが出来ると良いなと思いました。
また、この原生林のコーヒー農園を管理している山の集落にお邪魔しました。 山の薪を燃料にした竈で作られた素朴な郷土料理をごちそうになりました。コーヒーを収穫しながら、あらゆるものを自給自足で調達する山の生活を送っている人たちはおそらく何百年前から同じような生活だったのではとも思いながら、このような暮らし方を現代でも体験させてもらえる幸せを噛み締めました。
Xico Coffee Forrestの山の生活の映像へ
最後の日はニコさんの焙煎ラボを訪問させてもらいました。 こちらの焙煎所には近隣の農園から豆が持ち込まれ、コーヒーのグレードを品評しています。 コーヒーの木の管理方法、収穫方法なども焙煎とカップリングである程度は指導出来るそうなので、この地域のコーヒー豆の農家さんがスペシャリティコーヒーに意識を持ってくれると、日本にもXICO(ヒコ)のコーヒーが流通する日も来るのではとも思いました。
メキシコCasaFuturoLab.では引き続きコーヒーの現地調査を続けていきます。