千葉大学 国際教養学部 国際教養学科
松岡 由香利
《メキシコでの経験を通して》
私がメキシコで得たものはツールとしての語学力はもちろん、今後、社会に出たときに役立つ新しい土地での適応能力でした。
さらに、インターンシップの活動では社会での生産活動について具体的なイメージが沸き、人生の中でも貴重な経験の1つになりました。
活きた語学力
まず、活きた語学力について、1年前初めてメキシコに訪れたとき、私は現地使用言語のスペイン語は挨拶すら知りませんでした。
「ようこそ」という言葉すらなにを言っているのかという状況だったのです。そこからインターンシップを経て、人とのコミュニケーションが出来るようになりましたが、スペイン語で人と話し、その人の考え方を理解するためには、
「まだまだ自分の語学能力を伸ばす必要性がある!」
と受けたのは大学での毎日4時間に渡るスペイン語クラス。その時の教材はこちらです。
日本でイメージするテキスト学習主体ではなく、会話練習を主体とし、実践的なスペイン語を学びました。
スペイン語クラスに加えて通常の授業もいくつか同時に受け、現地の学生が実際に授業を受けるスピード感とレベル感を肌で感じ、より一層焦りと不安の中でスペイン語能力を伸ばすことができました。これは同じ授業を取っていた生徒たちとの写真です。
この時気づいたことは、やはり言語の習得に直結するのはどれだけその言語を使う機会があるのか、そして恐れずに使えるのかであるということです。日本だとどうしても日本語しか使う機会がありませんが生産活動を行う上でのツールとなる言語を習得し、自分に自信を持つためには海外に一歩出てみる経験が役立つと思いました。
文化と慣習
メキシコの文化•慣習についても深く知ることができたと思います。工場の従業員の方々、駐在員の日本人の方々、日本に興味を持ってくれているメキシコ人など異なる階層の異なる考えを持つ人々と関わったことで、食文化や宗教、国民性について、メキシコ全土で共通しうることと地域ならではであること、階層によること等いくつかの視点に分けて物事を捉えることができました。
具体的に、日本人とメキシコ人では昼食や夕食をとる時間がずれており、その上日本人が夕食に一番重たい食事を取るのに対し、メキシコ人は昼食に一番重たいものを食べる習慣があります。
日本は島国で魚を多く食べますが、メキシコの中でもアグアスカリエンテスという土地は国の中でもメキシコのおへそと言われる中心に位置し、新鮮な魚介類が取れないためあまり魚料理は食べない傾向にあります。
一方で、お肉は牛や豚の他にヤギのお肉も食べたり、豚の皮の部分も一般食材として食べられる等多様性があります。
そして宗教には関心を持っていないと言われるのは日本人ですが、メキシコ人はその大多数がカトリックを信仰しています。
国民性は、個人的感想ですが、日本人はいい意味でも悪い意味で真面目で、メキシコ人はおおらかであるように思います。
このような地域的な差について分野問わず知ることは将来日本と他の国を結び付けていく際に役立つと思いました。グローバルになってきている世の中で、この事実を知っているだけでも、自身の動き方が変わってくるなと思いました。
今後について
最後に、今回の経験は私の将来にも影響を与えるものだったと思います。まず、拠点としたい地域範囲が変わりました。以前は日本、もしくは英語の学習に励み、米国で働くことができればと考えていました。英語を話せる人の数は多く、そのような中で自分の居場所を見つけられるのかは不安感があるものの、どちらも、働くことに対しての社会的なモチベーションが高いと感じ、自分を磨いていけると思っていたからです。
しかし、今回の経験を受けて、中南米エリアで働くというのも一つの手段だと思うようになりました。スペイン語、日本語、英語と3か国語話せる人の需要がまだまだあるという事実に加え、メキシコにおいては日本との仕事に対する姿勢の違いに気づきました。その中では日本人として中南米でどのような働き方ができるのかを見ることができました。
その他の生活面においても、自身の気性とラテンの気質が合うことに気づいたことも大きな収穫でした。
《インターンシップを通して》
ティファナ
ティファナでのインターンシップでは、人が働く現場を見る経験、特に工場の内部を見て過ごす経験はエンジニアの仕事ととして、図案作製からものが形になるまでを見ることを実現してくれ、またその職環境も肌で体感することが出来ました。
またそこでの工場としての取り組みであり、実際に私がインターンシップとして参加させて頂いたコンテナハウスの社員食堂はそのコンセプトが私の考えと非常に合っており、素敵だと思っているところです。工場にあるコンテナ、トレーラーという資源を活かし、改装することで、社員の仕事効率を高める食を提供すると共に最低限の生活を保証している環境があり、そこで食を通じたコミュニケーションが生まれていました。地域資源を活かしてその場を盛り上げていく方法が知りたいと思っていた私にとってどこかそのヒントとなる取り組みで、発見も多い経験でした。
そこではスペイン語の授業も1日1時間程受けさせて頂ける環境もあり、仕事環境を知るという意味でも自身の能力を伸ばすという面でも半年間の中で様々な体験をさせて頂いたインターンシップでした。
仕事以外の時間でも、周辺地域を見にいく機会を頂き、何が周辺地域で有名なものなのか、美味しいものなのか等地域資源に触れさせて頂きティファナという場所までも大好きになりました。本当にありがとうございました。
アグアスカリエンテス
アグアスカリエンテスというまちに移り、また違ったインターンシップもさせていただきました。
そこで私にとって一番良かったことは、メキシコ人の方に日本語を教えられたことです。日本語を見つめなおすきっかけにもなり、さらにスペイン語能力も伸ばすことができたと思っています。
日本人であるが故に日本語はこれまで「聞く」を主体に覚え、あまり使い方を意識することはありませんでした。
でも、その用法をスペイン語で説明するという状況は自分の頭を回転させる良い刺激になりました。
また、教えている中で、日本とメキシコの違いを感じる部分がありました。それは生徒のフレンドリー差です。積極的に、私にメキシコの文化について教えてくれ、死者の日という有名なイベントやアドベンチャーなどに連れていってくれることもありました。日本ではなんとなく先生と生徒という区切りの中で交わることは少ないですが、文化交流という意味ではお互いのためになり、それが新鮮で嬉しい文化だなと思いました。
同様にインターンシップ先施設でも様々な学年の生徒が一緒に交流している姿、勉強や運動を一緒に行い、上の学年の子は自分よりも小さい学年の子のお世話までしている姿を見ることができ、いい職場だなあと思っていました。自分の幼少期の頃とは違った環境があり、面白さを感じていました。貴重な経験をさせて頂き本当に感謝でいっぱいです。